アボサンinfo

intro
阿保美代さんとは?
アボサンとわたし
 
contents
単行本リスト
作品リスト
          1977〜
陽だまりの風景
ふるさとメルヘン(1)
お陽さま色の絵本
          1981〜
時計草だより
ふるさとメルヘン(2)
くずの葉だより
          1987〜
ルフラン
夏のてじな
          1993〜
森のメルヘン
そよかぜの木
二人でつくる基本〜
 
thought
いろいろ思索
作品レビュー
 
refer
参考・関連リンク
弊サイトについて
 
 
いろいろ思索 〜阿保美代さんとその作品に〜   


 △ 《 阿保さんと作品に 》  △ 《 復刊・選集の夢 》 コーナーTOPへ△



阿保作品に引用された詩や歌   


 阿保さんの作品の中で、引用されている詩や歌をまとめてみた。 例によって、'77年〜83年の6冊から。少し場面の状況も添えておいた。


上段:引用された詩歌 (※場面) / 下段:題や作詞者などの表記下段:掲載作品タイトル
 
 「ふたつ ふじには ゆきだとさ みっつ みかんは みかんいろ
   よっつ よなかは もうさむい いつつ いちょうは きんのいろ
    むっつ むくどり なきだして……」
 
(※囲炉裏端でお婆さんがお手玉をしながら狐と一緒に歌う)
 「秋のかぞえうた」 作詞/ふじたあさや 作曲/岩代浩一きつねのくりごはん
(ふるさとメルヘン p.8)
詩歌・作詞者など掲載作品
 
 「La La La  赤いはなたば くるまにつんで 春がきたきた おかからまちへ」
 
(※嫁入り前の村の女性。町から来た客人の赤いハイヒールを内緒で履き、舞い歌う)
 「春の歌」 喜志邦三作詞あかいくつ
(ふるさとメルヘン p.71)
詩歌・作詞者など掲載作品
 
 「あかいくつ はいてた おんなのこ いじんさんに つれられて いっちゃった
   いっちゃった……」
(※作品のラストシーン)
 「赤い靴」 野口雨情作詞あかいくつ
(ふるさとメルヘン p.74)
詩歌・作詞者など掲載作品
 
 「手を とりあって そこへいこう ………… ごらん そんなに 遠くはないよ
  さあ ここから出かけよう わたしの恋人よ」
 
(※長く帰らない夫を待つ妻。町中で夫に似たアコーディオン奏者が歌う)
 モーツァルト作,歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より。訳詩・武石英夫。秋の日のアリア
(ふるさとメルヘン p.169)
詩歌・作詞者など掲載作品
 
 「風に糸杉の影 のこしていく叫び声 ぼくをほっといてくれ この畑で泣かしてくれ
  ものみなこわれてしまった のこるは静寂だけ」
 
(※木々が風に揺れる静かな村。旅人が丘の上でこの詩を想い出す)
 ロルカ詩集 「アーイ!」(長谷川四郎訳)より風の村
(お陽さま色の絵本 p.11)
詩歌・作詞者など掲載作品
 
 「ひとつの気持ちを もっていて 暖かくなったので 花が咲いた
  その気持ちが そのまま よいにおいにも なるのだろう」
 
(※静養で村にきた乙女。少女と原っぱで花を摘みながら、この詩を教える。)
 「八木重吉詩集」(彌生書房刊) 「梅」よりひつじぐさの夢
(時計草だより p.146)


 以上、全6つ。この中で、またしても発見をした。「秋の日のアリア」が秀作だった。

 さて、引用の表記はページの枠外に書いてあるので、見落としがあるかもしれない。 6冊以外に、'87年の「夏のてじな」もざっと確認したが、見つからなかった。

 阿保さんは若い頃から、色んな詩集を読まれていたのだな、と思う。これは氷山の一角だろうし、 様々な本や芸術から良いものを吸収しておられたのだろう。氏の中で消化されているから、 ペダンティックでなく、物語の中に自然と出てくる。

*   *   *

 当然、アボサンの書かれた詩や歌にも素晴らしいものがある。 「ふるさとメルヘン」の中の、伝承歌をアレンジしたものも良いし、 時計草だよりに出てくる様々な歌、例えば、 「アンダンテ・カンタービレ 〜 春の夢はどこまでつづくのでしょう」(p.37)なども好きだ。

 そして「ぴあの」の猫の心の声、「やさしい音が〜」。 「楓ッコ」の、「いっとうひどいことをしてやろう〜」に続く想像を越えたモノローグ。 くずの葉だより所収の「千とひとつの物語」「月街ものがたり」にも良い詩がある。

 アボサンは、'70年代〜80年代前半には、その道一流のものにも届きそうな、 優れた詩を書かれていた。 それは今読んでも少しも色褪せていない。



2010.09.04
著者:ライラック


△ コーナーTOPへ戻る △
inserted by FC2 system