私が「ぴあの」という作品を知ったのは、あるブログの紹介文からだった。
当初は、「え?そんな作品あったっけ?」といった程度で、
いろいろ単行本を読み探していたら、ああこれかと見つけた。
どうも、切なそうな話だなーとペラペラ読み流していて、全く思い入れはなかったのだ。
しかしその感想を知った後で、よくよくじっくり読んでみると、これは心を締め付けるような佳品であった。
切ない言葉と、儚いタッチの絵。
ラストシーンで、読み手は、ある音を聴きつつ、哀しみを共有する。その余韻は後々まで残る。
雪だるまさんはこれを読んで一言、「アボマジックが利いている」と仰った。
また別に、amazonの「ふるさとメルヘン2巻」の欄に、
「真夏に真綿の〜」に関して書かれたレビューが一件ある。
これは私に限らず、多くのファンにとっても印象深い作品だろうが、
しかしそれでも、これを読んで、見方を少し新たにしたものだ。
阿保さんの作品には、こうしたことがよくある。
私の感受性の乏しさか、恐らく、人それぞれ感応する場所が異なるからか。
とはいえ、誰かが感動して良いと言ってくれて、別の人がそれを聞き、じっくり読み返した時、
それまで気づかなかった魅力や価値を発見できたりする。
それは、見る角度によっては曇った石にしか見えない水晶を、
「ここからこう見れば輝きが見えますよ」と教えてくれたような、とても嬉しい体験だ。
だからもっと多くの方が、阿保さんの作品を読み、ご自身の視点で語ってくれたらと思う。
その時に、阿保作品に内在する何かが見えてくるような気がする。
2010.06.27
著者:ライラック