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阿保美代珠玉集 夏のてじな
©阿保美代 (KC mimi/講談社/1987.6.15初版)


   昭和57年〜62年に雑誌「mimi」系に掲載された作品集。 これまでの作風を引き継ぎながら、 少し都会化された雰囲気も。

 清麗な水が作品として掬われ、泉の底が見えてきた頃。 この時期を境にした 阿保さんのイラストの変遷も見られる。

著者/阿保美代 ・ 装丁/水野石文  カバー見返し・裏  カバー見返し・表


 ▽ 目次 (収録作品)    ▽ インプレッション   


 
  目次 (全23篇)

作品タイトル 頁数 初出誌 (※S51=昭和51年) サイト内リンク
 夏のてじな8p S61 mimiDX 8月号 
 回転木馬11p S62 mimiExcellent No.2 
 ピクニック16p S62 mimiExcellent No.3 
 空色のクレヨン8p S61 mimiDX 6月号 
 きつつきの森6p S61 mimiDX 5月号 
 花咲はなえみおなべ8p S61 mimiDX 4月号 
 春の山びこ8p S61 mimiDX 3月号 
 冬の華8p S61 mimiDX 1月号 
 野ばら村の歌合戦7p+1p S60 mimiDX 11月号 
 ガラス色の子守歌6p S60 mimiDX 9月号 
 青空太鼓6p S60 mimiDX 6月号 
 あじさい手まり6p S60 mimiDX 5月号 
 白い霧の夜話10p S60 mimiDX 4月号 
 赤おにのバラ8p S59 mimiDX 12月号 
 赤とんぼ8p S59 mimiDX 10月号 
 たなばた6p S59 mimiDX 8月号 
 虹色の雨8p S59 mimiDX 5月号 
 かげろう村8p S59 mimiDX 4月号 
 花食い鬼8p S58 mimiDX 12月号 
 ざしきぼっこ8p S58 mimiDX 10月号 
 春休み8p S58 月刊mimi 4月号 
 ひな菊の国から8p S58 月刊mimi 3月号 
 落ち葉の町8p S57 月刊mimi 12月号 



 
Impression
 
 都会の町を舞台にしたロマンスファンタジーから、ふるさとメルヘン、「くずの葉〜」風の作品が順々に入っている。 全体的に、ふるさと風の作品が多い。掲載順序は初出順とは逆になっている。

 最初の2作は、若い女性と恋人トムの話。 表題作はタンポポの種子が目の中に入って花を咲かせてしまう話。 「回転木馬」は、寂しい心の人を癒す木馬のファンタジー。 「ピクニック」は、再婚夫婦と連れ子の兄妹による陰影のあるドラマ。

 その後は、ふるさとメルヘン調の作品が続く。 「春のやまびこ」は猿と雪わらしの話。 「冬の華」は、口のきけない少女と、少年の話。雪の中で歌うシーンが綺麗。 「あじさいてまり」は、あじさいを水の精霊に供える祖母と少女の話。

 「青空太鼓」は、落ちてきた雷神の子と人間との交流。 「白い霧の夜話」は、屏風の竜の精に守られた病弱な子の話。 「あか鬼のバラ」は、雪女をアレンジしたような作品。 「ざしきぼっこ」は、日向ぼっこの好きな小鬼の話。

 「虹色の雨」から2作はロマンシリーズ風。 同作は、雨女の女性が亡くなった後、その恋人だった男性が雨につきまとわれる、ホラー風の話。 「かげろう村」は、子供を身篭った仙女の話。どちらもなかなか雰囲気がある。

 象徴的なのは最後の「落ち葉の町」('82年末)。「くずの葉〜」の流れの終端か、 かつて電車の運転手だったお爺さんが、子供と一緒に過去の町のミニチュアを作り、去っていく。 アボサンが作ったメルヘン世界の終わりを告げているかのようだ。

 全体的に、ストーリーに力がなく、淡白な印象。 描線は丁寧だが単調で、定規やスクリーントーンの使用も随所で見られる。 とはいえ、なかなかお洒落な感じの絵もあり、 それなりに良質なメルヘンファンタジーの短篇集と言えるかもしれない。

 '80年代半ば、アボサンの絵が新しく変容していく時期の一冊。

(by ライラック)

 
 背景の描き方などは、まだ全盛期の雰囲気を保っている。空気感がちゃんとある。 しかし、人物の表情に、繊細さや、無作為な、無垢な感じがなくなり、 人工的な感じになった。

 「くずの葉だより」の頃から、たぶん体力がなくなってきたのだと思う。 あの誰も真似できないような点描や線描の世界ではなくなっている。
 

(by 雪だるま)


2010.05.15〜
編集:アボサンinfo.

illustration ©MIYO Abo 1982-1987
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