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          1977〜
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アボサンのふるさとメルヘン (2)
©阿保美代 (KC mimi/講談社/1982.11.15初版)


   ふるさとメルヘンに続く、民話メルヘン短篇集の第二巻。 繊細なタッチで描かれた、小粒だが心に響く作品が揃っている。

 山川草木、土の下の生命まで描き出す、自然愛に溢れた視点と表現。 台湾ではこの本が「阿保的童話」と題され出版された。

著者/阿保美代 ・ 装幀/水野石文  カバー見返し・裏  カバー見返し・表


 ▽ 目次 (収録作品)  ▽ イラストカット  ▽ インプレッション   


 
  目次 (全22篇)

作品タイトル 頁数 初出誌 サイト内リンク
アボサンのふるさとメルヘン
 かやぶき峠の鬼8p S54 月刊mimi 7月号 
 すずめのお宿8p S54 月刊mimi 8月号 
 真夏に真綿の雪がふる日8p S54 月刊mimi 9月号 思索15
 田の草かかし8p S54 月刊mimi 10月号 
 10月のあまんじゃき8p S54 月刊mimi 11月号 思索14
 花咲かぬ森の盗人たち8p S55 月刊mimi 1月号 
 おろろんぎつね8p S55 月刊mimi 2月号 
 ジロー・メルペリウスの話8p S55 月刊mimi 3月号 思索14
 やまびこ太郎8p S55 月刊mimi 4月号 
 野いちご村の花絵師たち8p S55 月刊mimi 6月号 
 わすれんぼの天使8p S55 月刊mimi 8月号 レビュー
 赤い実 白い実8p S55 月刊mimi 11月号 
 せんとゆきぼうし8p S56 月刊mimi 1月号 
 春のないしょ話8p S56 月刊mimi 3月号 
 花かがり8p S56 月刊mimi 4月号 
 虹の町から8p S56 月刊mimi 6月号 
 月の光を紡いで8p S56 月刊mimi 9月号 
 かえでッコ8p S56 月刊mimi 11月号 
 赤いはさみと銀の鈴8p S57 月刊mimi 3月号 
 羽衣てらんこ 8p S57 月刊mimi 5月号 
 メロウ・フォーカス8p S57 月刊mimi 8月号 思索13
 山のあなたの空から8p S57 月刊mimi 11月号 
美代のメルヘンギャラリー
 春 ぼくの庭の緑の芝生1p (描き下ろしイラスト) 
 クローバーよ 4枚の葉のあつまりよ1p    〃 
 春── 眠り1p    〃 
 春の雪の一片ひとひら 冬の最後のあいさつ1p    〃 



 
  イラストカット




p.7 「かやぶき峠の鬼」より (C)阿保美代




p.20 「真夏に真綿の雪がふる日」より (C)阿保美代




p.105 「聖ゆきぼうし」より (C)阿保美代




p.140 「楓ッコ」より (C)阿保美代

©MIYO Abo 1979-1982






 
Impression
 
 ふるさとメルヘンの続編。阿保さん流の民話や童話が色とりどりに。

 「かやぶき峠の鬼」「すずめのお宿」は、読んでいて心を動かされ、涙が出てくる。 さらりとした結末も美しい。 「真夏に真綿の雪がふる日」は珠玉の作品。一つ一つの場面、少女の表情、フレーズ。 一度見たら心のどこかに残るのでは。

 「田の草かかし」も心温かくなるメルヘン。畑を守るかかしと、すずめの一家の話。大きな月を背景にした絵も見所。 「10月のあまんじゃき」、学級リレーを辞退した天邪鬼の少年の本当の思い。 そこからの幾つかの短篇も、繊細で華麗な絵に、詩や言葉が自在に踊っているよう。

 「わすれんぼの天使」は、青年の夢を食べていた猫の話。ばれた時の反応も可愛い。 「赤い実、白い実」は、子をなくした親クマとサーカス団の子クマの童話。 「聖ゆきぼうし」、サンタを待つ少女の想い。 二人の少女の秘密、「春のないしょ話」は素朴で優しい内容に、装飾的な背景も見所。

 「花かがり」は独特の絵で、幼い風太と少女のやりとりが楽しく懐かしい。 月へ行く方法、「月の光を紡いで」。茶屋の娘の、はらりとした仕返しを描いた「楓ッコ」。 カニのおわび返し「赤いハサミ〜」は、着物を紡いだような背景も美しい。 「羽衣てらんこ」は"大工と鬼六"に似た設定に恋愛を加え、新しい作品に。

 繊細なタッチとともに広がる、アボサンのメルヘンの一つの頂点。 作品ごとに絵柄の変化があるのも楽しい。 心に響く童話が幾つも入っています。

(by ライラック)

 
 阿保さんの魅力は、時計草だよりシリーズのヨーロッパ調だけではない。 日本の東北の農村風景も、阿保さんが描けば、土臭くも暗くもウェットでもなくなる。 これほどまでに、青森弁を多用しているのに、だ。 これは実は画期的なことではないか。

 ダムの底に沈んだ村をいく年もいく年も ひとり訪れる少女を描いた「真夏に真綿の雪がふる日」は、 誰の心にも強い印象を残す作品だと確信する。 村人の姿が誰ひとりみえない村の、がらーんとした明るさ と、それに裏打ちされた深い寂寥感を描き出した手腕がすばらしい。

(by 雪だるま)


2010.05.15〜
編集:アボサンinfo.

illustration ©MIYO Abo 1979-1982
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