クマや羊やキツネなど、擬人化された動物たちの住む世界。
元気で図々しくて世話好きなウサギのおばさんが、さまざまなドタバタを繰り広げる。
叙情性は薄いが、コメディタッチの、活気ある明るく楽しいお話集。
絵は細い輪郭でくっきりした感じ。
目も円に黒点など、シンプル。可愛らしい動物に、
阿保さん的な装飾や風景が加わり、どの世代にも受け入れやすいかもしれない。
「にぎやかな樹」は、おばさんの住む大木で出来たアパートでのお話。
冬に樹が倒れると聞いて、みんなが引っ越すけど…。心温まる良質なメルヘン。
「森のこもりうた」は、冬の間コグマを預かることになって…。胸がキュンとなるいい話。
「旅は道連れ」は、観光バスツアーでの出来事。
「黒うさぎ〜」は、家に住むお化けとのドタバタが楽しい。
「おじゃま虫〜」は、サマーハウスでの恋愛バトル。
「うさぎのマーチ」は、屋敷に住むうさぎのお嬢様との話。
「どくだみ〜」は、両親と実家の庭の話。
「風色のお茶〜」は、旧友との再会と、楽しい日々。
「ぼくのおばさん」は、甥っ子の下宿に泊まる話。
「うさぎさんのスキップ」は、カルチャークラブに通う話。
最後の「しあわせの贈り物」では、おばさん自身が幸せに…。
本の途中から世俗的な話が多くなったり、何かと揉め事が起きたりするが、
どれも彼女のエネルギーや優しさで、
周りを前向きな気持ちにしていくのは同じ。
巻末に3ページのあとがき漫画がある。
著者の阿保さんが、「ネームが出来ない」と悩んでいて、
うさぎのおばさんと会話するうちに、元気をもらって開き直るという、
これまた実感が伴った楽しいもの。
阿保さんも読者も、うさぎのおばさんから元気がもらえる一冊。
(by ライラック)
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