ふるさとメルヘンの続編。阿保さん流の民話や童話が色とりどりに。
「かやぶき峠の鬼」「すずめのお宿」は、読んでいて心を動かされ、涙が出てくる。
さらりとした結末も美しい。
「真夏に真綿の雪がふる日」は珠玉の作品。一つ一つの場面、少女の表情、フレーズ。
一度見たら心のどこかに残るのでは。
「田の草かかし」も心温かくなるメルヘン。畑を守るかかしと、すずめの一家の話。大きな月を背景にした絵も見所。
「10月のあまんじゃき」、学級リレーを辞退した天邪鬼の少年の本当の思い。
そこからの幾つかの短篇も、繊細で華麗な絵に、詩や言葉が自在に踊っているよう。
「わすれんぼの天使」は、青年の夢を食べていた猫の話。ばれた時の反応も可愛い。
「赤い実、白い実」は、子をなくした親クマとサーカス団の子クマの童話。
「聖ゆきぼうし」、サンタを待つ少女の想い。
二人の少女の秘密、「春のないしょ話」は素朴で優しい内容に、装飾的な背景も見所。
「花かがり」は独特の絵で、幼い風太と少女のやりとりが楽しく懐かしい。
月へ行く方法、「月の光を紡いで」。茶屋の娘の、はらりとした仕返しを描いた「楓ッコ」。
カニのおわび返し「赤いハサミ〜」は、着物を紡いだような背景も美しい。
「羽衣てらんこ」は"大工と鬼六"に似た設定に恋愛を加え、新しい作品に。
繊細なタッチとともに広がる、アボサンのメルヘンの一つの頂点。
作品ごとに絵柄の変化があるのも楽しい。
心に響く童話が幾つも入っています。
(by ライラック)
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