明るい緑色の表紙が印象的。少しページをめくっただけで、
アボサンの創作がノリに乗ってきて、充実していることを感じさせる。
舞台は、自然あふれるヨーロッパ風の小さな町や農村。阿保さんの描く素朴な人々がそこに住む。
「タンポポだより」は、ある小さな村の新聞記者兼編集長、青年ホッホさんのお話(3篇)。
ニュースを探して町を飛び回ったり、地図屋さんと散策したり、かわいい女の子に恋をしたり。
心がキュンとなる心温まる話です。
「つむじ風だより」は、村をぱとろーるする二人のおまわりさん(アーヨさん、ゴーロさん)のお話。
村中から消えた鏡を探したり、羊がいなくなった原因を調べたり、
夜道で人を驚かす幽霊を捕まえる話など、純朴で幻想的なメルヘン4話。
「くるみの木だより」は、南仏プロヴァンスのような雰囲気の舞台。
自然にあふれ、人も気候も穏やかで、木々には精霊や天使が宿る。
人々はよく働き、祭日には音楽にのって踊る。
そこにマザーグースの歌のようなポエムが添えられます。
そして「時計草だより」。1/2理論を提唱する教授と、助手ジョシュア。
彫刻家のトーレンチカと友人アルフ。郵便屋のフーデさん。駅長さん。流れ星一年生。
風や花や太陽に生命が宿り、素朴な人々が交流する。
アボサンの詩的で、時々哲学的な、ほのぼのと優しい物語。
絵も詩も話も充実した、アボサン全盛期を代表する一冊。
(by ライラック)
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