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ファンタジックメルヘン 陽だまりの風景    
©阿保美代 (KCフレンド/ 講談社/ 1977.6.15初版) 
 初の単行本。昭和50年前後の創作メルヘン集。 北欧風の舞台に、詩的な情景描写。 甘い砂糖菓子のようでいて、しかし陰影のある切ない話が多い。

 まだ荒削りだが、画面や詩からセンスが漂う。樹木の抽象的な表現も印象的。

著者/阿保美代 ・ 装幀/水野石文  カバー見返し・裏  カバー見返し・表

 ▽ 目次 (収録作品)  ▽ イラストカット  ▽ インプレッション  


 
目次 (全20篇)    

作品タイトル頁数初出誌 (※S51=昭和51年)サイト内リンク
● ある村の詩
 わたがしの日7p  S51 週刊少女フレンド 10号 レビュー
 パウルの誕生日8p  S51 週刊少女フレンド 7号 ( 〃 )
 トトの子ねこ7p  S51 週刊少女フレンド 9号 ( 〃 )
 緑の雨がさ7p  S51 週刊少女フレンド 8号 ( 〃 )
 トク トク トク29p  S48 別冊少女フレンド 1月号増刊 
 とても美しい小さな朝24p  S49 別冊少女フレンド 1月号増刊 レビュー
● ロマンシリーズ
 ねがいごと5p  S51 週刊少女フレンド 12号 
 とまったとけい5p  S51 週刊少女フレンド 13号 
 バクのゆめ5p  S51 週刊少女フレンド 15号 レビュー
 小さな駅にて5p  S51 週刊少女フレンド 21号 レビュー
 10月の笛5p  S51 週刊少女フレンド 22号 レビュー / 思索10
 小さな二重唱5p  S51 週刊少女フレンド 14号 
 青いらくがき5p  S51 週刊少女フレンド 23号 
 銀のカンテラ5p  S52 週刊少女フレンド 1号 
 冬の樹5p  S52 週刊少女フレンド 4号 
 青い小鳥5p  S52 週刊少女フレンド 3号 
 つぶやき5p  S52 週刊少女フレンド 8号 
 いちごパイの夜5p  S52 週刊少女フレンド 7号 
 ティルの誕生日16p  S49 別冊少女フレンド 9月号増刊 
 霧のむこうに・・・16p  S50 別冊少女フレンド 1月号増刊 


 
イラストカット    



p.5 「わたがしの日」より (C)阿保美代




p.84 「とても美しい小さな朝」より (C)阿保美代




p.105 「小さな駅にて」より (C)阿保美代

©MIYO Abo 1973-1977




 
Impression    

 
 初の単行本。大半はヨーロッパ風の舞台で、全体的に切ない話が多い。 黒い背景の大ゴマもよく出てくる。 絵のタッチ、家や街並み、樹木、空、キャラクターの描き方まで意外に多彩。 後にお馴染みとなる駅員さんも3篇に登場。

 「ある村の詩」(全4篇)は、母親を亡くした子供(パウル)の話、ほか、子猫と男の子の、傘が好きな男の子の話。 少女と祖母の素敵な「ねがいごと」。人の悪夢を食べる「バクのゆめ」の真実。 「小さな駅にて」は、馬車を待つ駅長さんが少し眠くなって、哲学的な夢想にふける、阿保流ポエジー。

 「小さな二重唱」は、大きなカシの木と、そこへ休みに来たすずめの話。 ざわざわ、チュンチュン、そこへ嵐がやってきて・・・。 「10月の笛」は、春の草笛の明るい記憶と、秋の悲しみの詩。台湾ではこれが本のタイトルに。 「いちごパイの夜」は、ほんわか心温まるノスタルジックなお話。

 20ページ超の長編(阿保さん的に)、「トクトクトク」は、男女の人形の愛の行方を描く。 設定や絵や詩、ラストシーンに才気が漂う。 戦時下の愛の日々を描く「とても美しい小さな朝」、パリを舞台にした一本の短編映画のような美しさ。 その後の16ページの中篇2作も、陰影のあるストーリーで、何とも言えない余韻を残す。

 阿保美代という漫画家が、豊かな感性と表現力を備えた、オリジナリティをもちうる作家であることを、 さらりと感じさせる一冊。

(by ライラック)

 
 阿保さんのスタート地点であるこの作品集。 コマ割りも大きく、台詞運びも単純で、個人的には、この独特のウェットさが苦手なのだが、 阿保さんの才能が爆発している後の作品群に連綿とつながっていく"きらめき"は、 そこかしこに見受けられる。

 例えば、私は、阿保さんの描く、樹木に降る静かな雨の風景が たまらなく好きなのだが、「緑の雨がさ」のラストシーンがまさにそれである。 また、スクリーントーンを使わない、阿保さん独特の精緻な風景の書き込みは、 もうこの頃から充分に確立されている。

 しかし、それらピーク時代の作品とは 別物として考えればよいのかもしれない。 二十歳前後ならではの若い感性・青春の憧れや気負いが この作品集の個性でもあるのだから。 (萩尾望都の初期の作品の叙情性とも通じるように思われる)

(by 雪だるま)


2010-05-29〜 
編集:アボサンinfo. 
illustration ©MIYO Abo 1973-1977 

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